スイスフランの影響でFX会社が倒産?! 相場観1月第4週
前週のスイス国立銀行による対ユーロでのスイス・フランの上限撤廃はユーロを始め各通貨に大きく影響を及ぼし、一時は世界中のマーケットが混乱に陥りました。
「スイス・ショック」と呼ばれる今回のフランの暴落・暴騰は世界中のトレーダーに大きな衝撃を与えると共に、海外のFX会社が破綻に追い込まれるという事態にまで発展しています。
ちなみに、この破綻したFX会社には日本法人も存在しており、この会社に口座開設をしているトレーダーの保有ポジションは全て強制決済、また新規ポジションの保有や入金、口座開設も出来なくなっています。
日本国内のFX会社は全ての顧客資産を信託保全することが義務付けられているので、口座内の資産が消失する恐れはないことになっています。
今回の件でも先のFX会社からの出金は随時手続きが為されるようですが、いずれにしても日本国内でも損失を被ったトレーダーが居ることは間違いありません。
またしてもマーケットは予想外の出来事に巻き込まれ、各通貨に大きな影響が出たわけですが、今回のスイス・ショックに関しては日本のトレーダーに対してはさほど大きな影響はないとされています。
金融庁も
「スイス・フランは日本国内のFX市場においては主力通貨とは言えないので、今回の上限撤廃による価格変動の影響は限定的である」
としています。
しかしながら、原油価格の暴落と共に大きく下落したルーブルに比べると、スイス・フランは国内のFX会社が恒常的に取り扱う通貨に含まれています。
今回の上限撤廃の措置以降、国内のFX会社もスイス・フランの取引に必要な証拠金を引き上げたり、一部取引のスプレッドが一時的に広げられるなどの措置が為されています。
そのため、マーケットの動向がある程度の落ち着きを見せるまでは、スイス・フランの影響が少ない通貨と言えども様子見の展開が続くことが予想されました。
火曜日から動き出した
ドル円を始め各通貨の値動きについては、その流れを受けて様子見の動きから始まります。
19日の月曜日は米国市場がキング牧師生誕記念日の祝日ということも手伝って特に値動きが少なく、トレードそのものを慎重に見る動きが顕著でした。
価格が動き出したのは、ほぼ丸一日経過した翌20日の火曜日からとなります。
ドルが徐々に伸びを見せた背景に明確な要素はないものの、米利上げ観測に対する思惑から117円後半をじりじりと上昇。
日本市場が動き出してからは、この日の日経平均株価が17300円台へ載せたことからドル買いが強まり、118円を上抜けます。
その後も上値を追い続け118円後半まで値を伸ばしますが、21日水曜日に日銀金融政策決定会合及び黒田総裁の会見があったことで流れは円買いに傾きます。
一時は119円に迫ろうかというドル円は117.30付近まで下落。
若干の戻りを見せ、117円後半が落ち着きどころとなって推移します。
その後、米12月住宅着工件数などの指標発表もありましたが大きくドルを動かすには至らず、ユーロの調整買いに押される形で117円前半を維持。
22日に入ると米債利回りの上昇に加えダウや日経先物が堅調なことから118円に到達。
ドルの底堅さを伺わせながら米雇用統計、そしてECB理事会を待ちます。
休むも相場
今週は米の雇用統計よりも先のスイス・ショックの影響をダイレクトに受けたユーロ圏、ECB理事会及びドラギ総裁の会見の方に注目が集まります。
ECBが月額600億ユーロの国債購入プログラムを2016年9月末まで実施するという発表を始め、ドラギ総裁の会見が進むに連れてユーロは下落を強め、対ドルでは1.1400ドルを割り込みます。
その後も下落は続き、23日金曜日には1.1115ドルまで到達。実に2003年9月に以来の安値圏への突入となりました。
その後、調整の戻しを見せたユーロは1.12ドル後半で落ち着き、ドルも最終的にはこのユーロ買いに調整される形となって117円半ば付近で引けました。
年明け後、ユーロは対円での下落を留めることも出来ず、昨年後半の円安の値幅を一ヶ月で完全に帳消しにしてしまいます。
今週で2013年9月以来の水準となる130.90円付近まで値を下げ、今後も一層の下落トレンドが強まる恐れがある為、次週以降もユーロ圏各国の動向及びECBの対応に注目が集まるところです。
また、ポンドもユーロ同様に対ドル、対円の両方で安値を追い続けています。
いずれにしてもスイス・ショックの余韻を始め、相場に大きく影響するファンダメンタルの動きに注視しなければ、トレーダーはテクニカル一辺倒で利を伸ばすことが難しくなっていると言えます。
「休むも相場」という各言もあるように、手を出しにくいときはエントリーを控えることもトレーダーには必要でしょう。
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