雇用統計でどう動いた?相場観1月第2週
年末年始休暇も終わり、相場も含めて様々な社会活動が始動した今週、まずは最初の大きなマーケットイベントとして9日金曜日の米12月雇用統計がありました。
それまでのドル円の値動きとしては、5日月曜日に日経平均株価の一時的な回復を元にして一時120円半ばまで反発した場面はありましたが、やはり121円に届くことなく下落。
その後欧州時間〜米時間へと移るにつれて、特に調整を見せる訳でもなくあっさり120円を割り込みます。
この日は米株式市場のオープン後、ダウ平均が200ドル近く下落していることもあって日付の変わる6日火曜日0時頃には119円半ばまで下落。
やはり年末からの原油安+株安+円高というパターンが続いているという様相を見せます。
翌火曜日以降、ドル円の上値は更に重くなる展開となり、目立つ戻りを見せることなく円買いの回避行動が続きます。
とにかく原油市場に翻弄される動きが続き、石油株の下落が米株式市場全体の重しとなっています。
本来であれば、原油という資源が安くなることによる消費拡大や各産業の活性化が期待され、株式市場がプラスに転じることも充分に考えられるのですが、今回の急激な原油安に関しては石油関連企業の先行きが懸念されるマイナスの要素が大きく働いているためリスク回避の円買いが優勢になっています。
今後、米経済が本格的な回復に至るには、まずは石油関連など経済活動の基盤となる資源系企業の安定が欠かせません。
農業や工業、全ての産業に燃料を始めとした石油は欠かせないので、ボトムを支える石油関連企業の動向が注視されていることはマーケット全体が慎重に経済動向を捉えた上で為替取引を行っていると言えるでしょう。
この大勢の流れの中、日経平均の下落などもトレンドに拍車を掛けたことで、一層ドル円の上値が重い展開を見せ、6日火曜日から7日水曜日にかけて円高が進みます。
一時は118.05まで下落した後、米株価指数が安値圏を回避、長期債利回りも反発を見せたことで118円を割り込むまでには至りませんでしたが、円買いの圧力は強く続きます。
7日から8日にかけては119円を挟んで一進一退の値動きが続きます。
7日の欧州時間からNY原油先物が反発を見せたことで、それまでのリスク回避の円買いが若干落ち着きを見せます。
米12月ADP雇用者数の増加幅が市場予想を上回ったことなどによりドル買いの動きに転じ、ドル円は119.65付近まで上昇。
東京市場開始後は日経平均が前日比での上げ幅を拡大したことが好感され、更にドル買いが進み、このまま120円を突破するか、という上昇を見せますが120円での売り圧力が強く、119.96円をピークに上値を抑えられました。
119円台での値動きのまま、9日金曜日の米12月雇用統計が発表されます。
原油安による円買い・ドル売りトレンドを崩すような強い指標となるのか、それとも昨年の円安トレンドが完全に崩れるような流れを作るのかと注目が集まりましたが、結果的には各指標の数値は強弱ミックスされたことにより現状の流れを大きく変えることはありませんでした。
非農業部門雇用者数が拡大されたものの失業率は2008年6月以来の低水準となり、更に賃金が伸び悩んだことで方向的にはドル買いに動きます。
その流れを後押しするかのように米株価指数が反落したことや、米債利回りの低下などを受けてドル円は118円台まで下落。
結果として118円半ばで今週の引けを迎える結果となりました。
原油安が最も大きな背景
現在の相場は原油安が最も大きな背景となり、そこに日米欧の日々の経済指標が絡む形となっています。
ユーロは今週も対ドル、対円において下落トレンドを継続。先週の記事で「次の安値目安」とした2010年6月の1.187ドルも簡単に割り込んできました。
原油安のトレンドに加え、ギリシャ不安の継続やユーロ圏各国の指標を元にユーロの下落は留まる処を知らずといった状態です。
今週が引ける前には若干の調整買いが入り、対ドルでは1.184ドル台で収束。
しかし対円では目立つ戻しを見せることなく140.38円まで下落。
昨年10月31日に日銀の金融緩和によって始まった円安・ユーロ高の上げ幅を今週一週間で簡単に割り込んでしまいました。
日銀の金融緩和があった時は、それ以前の直近高値であった2014年9月の141.22円を簡単に抜け、その後もグングン上値を伸ばしていきました。
しかし今週のユーロの下落幅も非常に大きく、141.22円を割りこんだ次のターゲットは2014年7月の139.28円や、その時期のサポート帯となった138.00円付近となります。
しかし、テクニカルのラインを簡単に割り込んでしまう現在のファンダメンタル背景はラインよりも重視せざるを得ず、次週もユーロやドルの動きには注意が必要といったところでしょう。
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