【番外編】 シンガポールドルの基礎
シンガポールドルの特徴は、通貨バスケット制度を採用している事が一番の特徴です。
通貨バスケット制度とは、複数の通貨を組み合わせてつくられた通貨単位のことで変動幅が一定の枠内に収まるよう通貨担当当局が運営する固定相場制度のことです。
変動率が安定しているという特徴があります。
通貨バスケット制度の例を以下にあげます。
ある国がドル50%、円50%という風なバスケット制度を導入したとします。
そして、ドル円相場で円に対してドルが10%上昇すると、この国の通貨はちょうどその真ん中に位置することになるので、ドルに対しては5%下落しアメリカに対する輸出は増加しますが、円に対しては5%上昇するので日本に対する輸出は減少します。
その結果から自国の輸出入等の経済関係は安定を維持できるという仕組みです。
ただ、シンガポールドルは経済成長を背景に通貨は徐々に切りあがっており政府もそれを容認しています。
シンガポールは新興国であり、新興国の通貨は南アフリカやトルコでみられるように10%を超える高金利通貨であることが多いのですが、シンガポールは逆で低金利であることも特徴です。
リスクとしましては、人口は500万人足らずなので多くを外需に依存しているため、世界情勢が不安定になれば一気に値崩れするリスクはないことはありません。
そして、水や食料やエネルギーなど、全ての資源を輸入に頼っていることも不安要素です。
特に水道水の多くを隣国であるマレーシアからパイプラインで輸入しています。マレーシアとの関係は、かつてに比べれば良好ですが、全幅の信頼を置けるほどの関係とはいえません。
シンガポールとマレーシアは同じイギリスの植民地であり、解放活動によりマレーシア連邦として独立しました。
その後マレーシア連邦でマレー人優遇政策が始まり、マレー系住民と中国系住民の間で衝突が起きるようになりました。
その後中国系住民を率いて独立したのがシンガポールです。
マレーシアが政治的困難になり国をまとめるためにシンガポールを仮想敵国のように扱う要素は無いとは言い切れません。
しかし、シンガポールはアジアの新興国の中でもここ数年成長率が5%以上と、非常に高い経済成長を続けており、GDPは世界ランク40位付近まで上昇してきています。
1人あたりGDPを見ても上昇を続け、成長率だけを見れば日本と同じです。
シンガポールは日本企業が多数進出していることからもわかるように、世界的に見ても有数の成長市場の1つで今後さらに注目が集まるでしょう。
固定変動制なので短期で利益を得るよりも、長期で得る方が向いていると言えます。
但し、シンガポールドルを取り扱っている業者は限られており、スプレッドも広めなので注意が必要です。